陶淵明「飲酒二十首 其七」
秋菊有佳色
衷露採其英
汎此忘憂物
遠我遺世情
秋菊 佳色あり
露を衷みて其の英を採る
此の忘憂の物に汎べて
我が世を遺るるの情を遠く
秋の菊がきれいに色づいているので、露にぬれながら花びらをつみ、この忘憂の物に汎べて、世の中のことなど忘れてしまう、杯を重ねるうちに、壺は空になってしまった
日が沈んであたりが静かになり、鳥どもは鳴きながらねぐらに向かう、自分も軒端にたって放吟すれば、すっかり生き返った気持ちになるのだ
忘憂の物とは酒のこと。この酒に菊の花を浮かべて飲むことは中国古来の慣習であった。
【出展】
陶淵明 飲酒の詩
【単語】
秋菊 … 秋になって咲く菊。あきぎく。
佳色 … 美しい色。
裛露 … 露にぬれる。「露に裛ぬれし」「露に裛うるおいて」「露に裛うるおえるに」「露を裛まとうて」とも訓読できる。
英 … 花びら。
掇 … 摘む。
【時期】
10月
【故事・風習】
酒に菊の花を浮かべて飲む➡︎中国古来の風習