「神絃曲」李賀

西山日没東山昏

旋風吹馬馬踏雲

 

西の山に陽が落ちて
 夜の帳も迫る頃
 わたしの馬は 歩みを止めた
 彼は不安げに耳を立て 黄昏の彼方に目を凝らす
 一陣のつむじ風 にわかに巻き起こり
 彼方より地を這うごとく
 黒雲が 流れ来る
 馬は嘶き 棒立ちとなった